佐藤でした

トラフィック/ぼくの伯父さんの交通大戦争の佐藤でしたのレビュー・感想・評価

3.5
ユロ氏は自動車メーカーのデザイナー。モーターショー出品のために、自作のキャンピングカーをパリからアムステルダムに運ぶのだが、渋滞や事故に巻き込まれ、はたまた警察や善意の他人の引き留めに遭ってしまい、果たして無事にショーに間に合うのか…。

ギッコンバッタンという工場の製造ラインで始まるオープニングでハッと気付く。…カウリスマキ、お前もか。いえあなたも、ファンのお一人でしたか。
ウェス・アンダーソン監督がタチ作品のファンであることは有名ですよね。日本のsoftbankのCMで、ブラピにユロ氏を思わせる帽子を被せて作ったドタバタ劇はタチ作品のパロディでした。今でもYouTubeで見ることができますが、お馴染みの90°パンもびしっとキマってますね~

今作のメインとなるのは水色のキャピングカー。ユロ氏が乗車しています。嫌な予感しかしない今作です。

そもそも、キャピングカーというもの自体が「ここからテーブルが出るの!」とか「シンクまであるの!」とか「ベッド広っ!」とか、装備の凄さに驚くので夕方まで楽しめる乗り物だと思いますが、

キャピングカー × ジャックタチ

なんて、最強だろうさ。バンパーから弱々しいデザイナーズチェアが出てきたり、フロントを開けるとコンロになってBBQができたり、車内ではベッドマットがむくむくとせり出てきたり。

そんなの、捕まえた警察も興味津々で見入っちゃいます。こっちは?あっちは?とどんどん装備を披露していきますが、

どこで展示会を、開催しとんねん!

っていう。 モーターショーに行ってそれをやるねん。まだ旅路の途中やねん。ちょっとでいいから前に進んで!とお願いしたくもなるけど、イライラは禁物です。
セリフも少ないですし、端っこから端っこまで、この動く絵画を愛でましょう。

この作品は、何でも自動化されていくモータリゼーションの時代への文明批判と言いながら、ユロ氏が本領発揮でロードムービーするコメディです。
佐藤でした

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