みーちゃん

ゲッタウェイのみーちゃんのレビュー・感想・評価

ゲッタウェイ(1972年製作の映画)
4.3
全編通して観るのに最も日数を要した作品かもしれない。何度トライしても、冒頭の15分から先に進めないのだ。

今日こそ最後まで行くぞと意気込んでも、前回の続きからではなく、また最初から見たくなり、同じことを繰り返してしまった(こんな鑑賞の仕方ができる動画配信サービスに感謝)。

それくらい、オープニングのストップモーションの連続に見惚れる。その被写体がスティーブ・マックイーンなのだから良くないわけがない。映像とは反対に、鳴り止まない織機の音と音量がもたらす心理的効果も半端ない。単にかっこいいとか、脳裏に刻まれるというだけでなく、この技法によって"時間"の概念まで操作されているような気がする。で、マックイーンだけじゃなく、鹿まで静止させちゃうの!?ってなる。

出所した後、二人が公園の池に飛び込む場面もそう。飛び込む前に(デジャブのように)飛び込んだ後のイメージが挿入される。で、実際のシーンは無い。サム・ペキンパー監督の真骨頂に魅せられると同時に、繰り出される演出の数々が、私には、実験的で遊び心のようにも感じられ、もはや笑えてくる。ほんと好き!

ゴミ集積場で、マックイーンがアリ・マッグローに「何があろうと、もうベニヨンのことは口に出さない」と誓い、普通なら強く抱き締めそうなところで銃を握り直すところ。二人が対等に並び、互いの肩に手を回して歩くところ。ほんと好き!

実は、ルディに巻き込まれる悲惨な獣医夫妻のシーンを見て、若い頃に見たことがあると思い出した。当時は、なぜ、こんな展開をわざわざ入れる必要があるのか分からず、ただの悪趣味に思えたのだ。今は、もう一組の夫婦として、際立つエピソードに感じる。

ホテルの窓からルディに狙われるシーンでは、一瞬、最悪な事態が頭をよぎった。だから、最後のシークエンスが、なおさら粋で素敵だった。