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ゲッタウェイのMovingMoviesのレビュー・感想・評価

ゲッタウェイ(1972年製作の映画)
4.5
ショットガンをぶっ放す男。それにひるむどころか拳銃を撃っている女性。
アクション映画全開のポスターにもかかわらず、本作は愛の物語である。男は女を愛し、女も男を愛している。4年間も男の出所を待っていたのだ。
でも男は女のことが信じられなくなってしまう。共犯でありながら緊張をともなう関係が続く。
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のように、お互いが裏切られるかもしれないという疑心暗鬼ではない。愛を独り占めできていないのではないかという男の不信。緊張関係は二人の逃亡 (ゲッタウェイ)劇を引き締め、見ごたえのあるものする。
セリフもなく細切れに挿入される冒頭のカットも、退屈なアクション映画から本作を遥かに遠ざける。

マックイーンらしいな思うのは、列車の中で子供に水鉄砲をかけられた時の表情。とても軽いのだ。逃亡中の犯人とは思えない人間味。このエピソードも余計なシーンなどではなく、二人の逃亡劇に影響を与えていく。

銀行強盗をした男女二人組の逃亡は「俺たちに明日はない」を思い出させるが、本作のキャロルとカーターはボニーとクライドより大人であり、とりわけマックイーン演じるカーターは”ドク”と呼ばれている知的なプロである。

ペキンパー監督は明日なき暴走から遠く、この逃亡劇を愛ある場所へと運んでいく。