シズヲ

ゲッタウェイのシズヲのレビュー・感想・評価

ゲッタウェイ(1972年製作の映画)
3.7
名優スティーブ・マックイーンとバイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパーによる犯罪アクション映画だ。銀行強盗をきっかけに追われる身になった夫婦が逃避行を繰り広げる。冒頭の機械作業が行われる刑務所内のカットを始めとし、淡々とした緊張感を演出する絵面作りがとにかく秀逸。話もそこそこのテンポで進んでくれるし、時折滲み出るスリリングな焦燥感も好き。スローモーションを利用した終盤の銃撃戦も緊迫感抜群で堪らない。

夫婦のロマンチックな場面を序盤に描き、そこから逃避行によって徐々に窶れていく展開に唸る。時に口論を行い破局の話も持ち出したりと、二人の関係性の行方に引っ張られるんだよね。そうして紆余曲折を経て「それでも二人はやはり愛し合っている」という決着に到達するのも清々しい。夫婦を追うルディ&獣医師夫妻のシニカルな関係性も不憫ながら面白い。

監督の演出やマックイーンの魅力のおかげで十分見ていられるけど、ちょっとパンチが足りない印象はある。夫婦の関係性がある意味逃走劇以上に話の主軸となっているので、そこに乗り切れるかどうかも評価を左右しそう。個人的にはそのへんもそこそこ楽しめたけど、もう一捻りくらい刺激が欲しかったとも思う。ペキンパー監督作にしては若干マイルドで物足りない味付けという感じ。とはいえ撮り方の上手さはやっぱりペキンパーらしいんだよな。
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