屋根裏の散歩者の作品情報・感想・評価

屋根裏の散歩者1992年製作の映画)

製作国:

上映時間:74分

ジャンル:

3.2

「屋根裏の散歩者」に投稿された感想・評価

屋根裏の散歩者は、私の知る限り4作品映画化されている。
「覗き」というスリルが、ポップなエログロナンセンスとして扱いやすいのだろう。

主人公の郷田三郎は、乱歩に似ていると思うんですよ。
職は長続きせず、この世に退屈していて…。

その郷田三郎が唯一心踊ったのは犯罪擬きのイタズラで、そこから押し入れ遊び→屋根裏散歩→殺人とエスカレートしていくのが原作。

で、本作ではその過程は描かれず、屋根裏散歩のシーン、とりわけ住民の痴情が描かれます。

これはなー…。

別に、原作を無視するならするでいいんですよ。
着想だけ借りて面白い映画が出来ればいいし、本作は実際それなりには面白かったんですよ。
雰囲気もいいし、明智小五郎も滑舌が悪い他はばっちりで、情事の際に流れるバイオリンは、魔術師でのフルートを思わせて、乱歩へのリスペクトもあるのかもしれないな、と。

けれど、上記の過程がすっとんでいるので、ただの覗き趣味の変態を主人公としたエロ映画とも思われかねないし、何より殺人の動機が意味不明なんですね。

原作を知らない方が楽しめるような、知っていないと動機がわからず意味不明なような…。

微妙でした。
天井裏から愛をこめて。

見事なり。
その一言に尽きますね。
嗜虐、窃視、淫靡、口陰、愛撫、恍惚、完熟。
江戸川乱歩御大のエロチックなイメージを見事なまでに再現した筆致は、さすが“映像の魔術師” 実相寺昭雄監督。ぞわりと鳥肌が立つ場面が幾度も繰り返され、物語に飽きる“隙間”が無いのです。

例えば、カタツムリが鏡を這う場面。
ただそれだけなのに、この世界の薄気味悪さを言い表しているかのようで、背筋が寒くなるのです。確かにヌメリと動く軟体動物の姿は、エロチックでグロテスク。あの数十秒で本質を言い表しているのですね。シビれますな。

また、配役も冴え渡っていました。
個人的には《明智小五郎》役は天地茂さんが最高峰と思っている口なのですが「嶋田久作さんもアリ」だと思ってしまったのは、監督さんの演出がバチリと決まっているから。それに、ヒロインを演じた宮崎ますみさんの起用もズバリでした。

しかも、平成の清潔な時代に。
昭和初期の猥雑な雰囲気を再現するのは困難だと思うのですが、それをポスターなどの小道具だけで世界を構築してしまう手腕は圧巻の一言。話によると低予算での製作だったそうですが「映画は予算で作るものではない」と実証したことになりますね。

ただ、それでも欲を言うならば。
もう少し粒子が粗い映像にすれば…もっと雰囲気が出たかもしれません。でも、そこまで江戸川乱歩御大の世界観を追求してしまったら…たぶん、本作は公開できなかったと思うのです。

何しろ、監督の筆致が冴え渡っていますからね。
ボカシが連発するほどにエロチックなのですよ(後から知りましたが成人指定映画だったのですね…)。これでリアリティを追求されたら…この世界から帰ってこられなくなるのは必至。うひぃ。

まあ、そんなわけで。
80分にも満たない上映時間なのに。
ぬるりとした蟻地獄に捕らえられて抜け出せなくなる作品でした。いや、もしかしたら、既に僕は抜け出せなくなっているのかも…。そう。あの画面の向こう側こそが現実…。

まさしく、うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと。
これはあまり合わなかった。
記録 ✎*。
実相寺監督の描くエロスが堪能できる映画。
嶋田久作の明智が本当にハマり役だと思う、キャスティングが秀逸としか言えない。

少しアブノーマルな愛を描き出し、またそれらを屋根裏から覗く主人公。
チラリズム、ではないけれど
人間は見えないもの、見えないところを見たいという欲求を誰しも持っているなぁ、と感じる。

おおっぴらにならないからこそ、そこに秘密があるからこそ、覗きたくなるのが人の性かな。
乱歩本人も驚くであろう内容。まさかの原作ではさほど取り上げられない“エロ”がメイン。しかし映画単体として観れば映像表現は少し面白い。一風変わった人たちが住むアパートでの話。ある日主人公は、自分の部屋の押し入れの天井が外れて 全部屋の屋根裏を散歩できる事に気付き、覗き見を始める…。芸術性の薄いポルノ映画。
Tristan

Tristanの感想・評価

4.0
美しい…。
ただ屋根裏の散歩者は映画化には向かない作品かもしれないと思った。
でも実相寺監督ありがとう。
夢野猫

夢野猫の感想・評価

4.0
実相寺版「屋根裏の散歩者」。
原作を読んだのが随分前なので、どの程度ストーリーを踏襲しているのか不明瞭だが、印象に残っている部分で言えば原作通りの感じ。
平衡感覚を狂わす様なカメラアングル、紗のかかったセピア調の色彩、独特の光使いと、実相寺感に溢れた映像を堪能しました。
生きる事に飽き退屈を持て余す男(三上博史)

ふとした事から下宿の屋根裏を徘徊し各部屋で繰り広げられる痴態、秘め事を覗き見る事に悦びを見いだす。
やがてそれだけで飽き足らず、恐るべき考え[完全殺人]を思い付き、計画実行に移す。
ただ、誤算だったのは下宿に住んでる明智の行動だった…

監督独特の光の使い方やエロティック描写、個性的な住人、そして宮崎ますみの不気味さ!と見所は多い。
男が押入れで寝起きするのは自分も子供の頃の憧れだったw

明智小五郎が登場するけど、下宿住人達の淫靡な生活を見るのがメインで、エロス度も高いのでくれぐれも家族で観ない様に。
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