イチロヲ

ピンクのカーテンのイチロヲのレビュー・感想・評価

ピンクのカーテン(1982年製作の映画)
4.0
奔放な妹(美保純)と同居している童貞の兄(阿部雅彦)が、妹と愛人関係を結んでいる中年男(望月太郎)に嫉妬心を滾らせていく。近親相姦の人間模様をコミカルに描いている、日活ロマンポルノ。ジョージ秋山の同名コミックを原作に取っている。

子供のときに両親を亡くし、艱難辛苦をふたりきりで乗り越えてきた兄妹の情念の物語。妹はセックス未満の癒しを兄に求めているのだが、兄は性的交歓を妹に求めてしまう。妹の屈託ない放蕩ぶりがホラーの領域だが、ボヘミアン系のコスチュームが面白い。

演出面では、周囲の人々が無反応になる「書き割り現象」が、悪い意味で働いているところが気になる。物語の進行に合わせて、都合よく書き割りになったり、ならなかったり。これは現在の映画やドラマにも通じる、ノイズ現象ともいえる。

しかしながら、性産業の世界へと墜ちていく女性(萩尾なおみ)を絡めた、妹離れのドラマはなかなかどうして見応えあり。妹離れに成功したかどうかの判断を、鑑賞者に委ねる論法がひたすらカッコいい。
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