[メガネっ娘クロディーヌ・オージェ！！！] 80点
小説家と画家のコンビ漫画家が、作品のファンで作中の妄想スパイごっこに取り憑かれた狂気的ボンボンに振り回される話。旧題『殺人ゲーム』。狂気のボンボンに誘われて、スイスにある彼の別宅に招かれた夫婦は彼の異常性を垣間見る。屋敷には場違いのピンボール台、夜中には一人で街まで車を駆り、庭には防音壁で覆った射撃場があり、小舟に乗って湖に居る観光客や漁師を煽り運転で危険に晒す。シンプルにバカなのか『ミザリー』サイコホラー的なやつなのか…前者でした(脱力)。すると、スランプだけどやたら仲の良い夫婦の描き始めた物語と妄想アダルトチルドレンの狂気が、直接的にも間接的にも影響を及ぼし合い、ボンボンの中だけで現実と妄想の境目が消えていく。しかし、そんなただのヤバい人に会いましたという話には終わらない。ボンボン青年の混じりっ気のないピュアすぎる妄想のエネルギーは外へと伝搬していき、それが分かっているのに引くほど破滅的なラストを書いたことで文字通り"漫画みたいな展開"に収束していく。最終的に全員がそこに存在していた狂気に飲み込まれてしまうのだ。働いても働いても借金だけが増えていく労働者が、不労収入を得たことで退廃していく現代の狂気みたいなものを感じる一作。
メガネっ娘クロディーヌ・オージェが常に最強という稀有な作品で、エレーヌ隠れ家探索ではほぼ裸エプロンくらい背中の開いたワンピース着てて、こちらも最高だった。ボンドガールで二番目に好きだが、ボンド以外で初めて見た。
