イチロヲ

ムカデ人間3のイチロヲのレビュー・感想・評価

ムカデ人間3(2014年製作の映画)
3.5
刑務所で独裁体制を敷いている所長が、囚人に対するムカデ人間化計画を実行する。アメリカの刑務所を舞台に、風刺映画としての側面を強めている、シリーズ第3弾。

前作同様、「ムカデ人間」の映画がメタ的に存在している世界の物語。前2作の主演が肩を並べるが、物語は別個なので別人の役回り。ドイツ系アメリカ人である所長の奇行を描きながら、社会に蔓延んでいる病理を風刺的・自虐的に説いていく。

主人公の所長は「厭世を超越した人物」という捉え方が可能。言うなれば「平和のための殺人」を平気でしてしまうタイプの人間。囚人への虐待行為をアイデンティティにしており、この仕事を失うことは、すなわち自身の存在意義を失うことになる。

「秘密裏に虐待しつつ、なおかつ囚人を出所させなければならない」というルール設定が笑いどころなのだが、後半部に入ると普通に殺害行為を始めるので、ムカデ人間の醍醐味が薄れてしまう。男性刑務所が舞台なので、女体が見られないところも残念。
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