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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のrexsolusのレビュー・感想・評価

4.0
 アラン・チューリングの私生活と、多大な業績のうちのエニグマ暗号解読だけに焦点を絞ったストリー。
 タイトルの「イミテーション・ゲーム」とは「チューリング・テスト」とも言い、エニグマではなく本来の彼のコンピュータ関連の研究において示された人工知能(AI)の完成度についての指針である。要は会話の相手がAIか人間かを判別できるかどうかを試す試験なのだが、この映画において、取り調べの刑事にすべて話した後に、「私は…、マシンか?人間か?」と問う重要なシーンで使われている。つまり最後に、アラン・チューリングが自分自身に対してイミテーション・ゲームを行うという演出である。しかし、単に一人の数学者が、エニグマの解読をナチス側に気付かれないようにするためにとった、合理的かつ非人道的な判断について生涯悩んでいました、で終わってしまっているように思う。彼がフォン・ノイマンやクロード・シャノン、ノーバート・ウィーナーらと並んで、20世紀以降のコンピュータ文明の礎を築いたと言っても過言ではない偉業を成し遂げたことについては、ほんの一言で済ましているのが大いに不満である。ベネディクト・カンバーバッチも、キーラ・ナイトレイも魅力的で、注目を浴びたいい映画なのに、アラン・チューリングを知らない人その全体像を伝えきれてないのがもったいない。
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