リミナ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のリミナのレビュー・感想・評価

3.8
今こうして送っている何気ない"普通"の生活は、数々の命を賭した偉業の上に成り立っている。
史実に基づいた数学学者達の知られざる壮絶な物語。

劇中では、主人公の人格形成を担った幼少期、エニグマの暗号を解読する戦時下、戦争終結後の現代という3つの時間軸が同時進行する。だからといって今がどの時代か混乱するような構成ではなかった。

苦難の末にマシンを完成させ即戦争終結、そしてハッピーエンド...とはならず、重大な秘密であるが故に優位性を保つため多くの命を切り捨てる決断を下さなければならない苦悩。愛する者を守るためについた嘘。
本作では人間らしい知性や感情に焦点が当てられる。決してマシンではない。

映像面では、幼少期の終盤、友の死を告げられるシーンにおけるじわり寄るカメラワークが不安を煽るようで目に残る。その体験を経て、自身が作るマシンに友と同じ名前を付けるのは心が揺さぶられてしまう。孤独から救いの手を差し伸べてくれる存在。

登場人物では冒頭から登場する警官が印象的。主人公の裏を暴くべく奮闘する姿は半ば己の知的好奇心からくるようにも見て取れて、もしかしたらクロスワードによる公募にも挑戦していたんじゃないかと思ったり。

映像化に当たって、史実から脚色されている要素も少なからずあるようだが、予備知識があまりない自分としてはのめり込めた作品。
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