竜平

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密の竜平のレビュー・感想・評価

4.3
第二次世界大戦下のイギリスにてナチスの暗号機エニグマの解読を命じられることになる実在の天才数学者「アラン・チューリング」、その知られざる物語を描く。

イギリスがドイツに宣戦布告した1939年からの数年を主な舞台に、ベネディクト・カンバーバッチが一見変わり者のチューリングを熱演。単刀直入というか冷たいというか、けど自分自身ではそんなふうに見えてると気づいてない感じの、なんというか人付き合いが下手な人の典型的なパターン。またそこに天才であるが故か、日常の変わった視点や発想というのもあったりして、他人となかなか相容れない様子は非常に印象的。でエニグマ暗号機に挑む人々の姿、そこにある苦悩や衝突などを描くヒューマンドラマでありつつ、チューリング自身の秘密を追うサスペンスになってるあたりもおもしろい。年代を行き来しながら描いていく構成で、そのTHE 変わり者と言える男の過去が次第に見えてくる展開の妙。すごくシンプルな「人間関係」の部分から、戦争を背景に切迫する状況や人命が関わる苦渋の決断まで、重厚感と共に最後にはどっしりとした何かが心に残るはず。

時代に翻弄された一人の天才にまつわる真実、またその偉業中の偉業や歴史の影に隠されていた事実、こういった話が長い年月を経てようやく明るみに出てるというのがそもそも興味深い。何も知らされず動かされ亡くなっていった人たちがそこに確実にいたのもまた事実。今作のような映画は本当に貴重だなと思う。良作。
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