ハリ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のハリのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

第二次世界大戦でドイツ軍が誇る世界最高の暗号機「エニグマ」の解読の為に数学者であるアランとチームメンバーが共に挑む物語。

アランの現在から物語は始まり、世界大戦時、アランの少年期と3つの時間軸で話が進んでいく。

同性愛者であることの差別、天才が故に常人とわかりあえない苦悩、アランを取り巻くチームメンバーの人情劇が主にフォーカスされている。

暗号解読装置「クリストファー」は完成するが一部の人間のみしか知らない。クリストファーとソ連との二重スパイである人物を使い、情報操作を行い゛止めるべき攻撃゛と゛受け入れる攻撃゛の取捨選択を迫られる。アランは1人で生殺与奪に近いその十字架を背負い戦争終結に協力する。

「想像しえないような人が想像できない偉業を成し遂げる」

このセリフは映画を通してテーマのように語られる。最初に聞いた時には「どんな人でも世界を救う可能性がある」というようなポジティブな言葉の印象だが、終盤に聞くとまったく意味合いが変わって聞こえる。

偉業の裏側ではその偉業を操作する人間の思惑が孕んでいたり、発展の裏には多大な犠牲が存在する。
戦争を終結させたヒーローの側面だけではなく、成功の裏では多くの犠牲の上で成り立っているということを想像させられた作品であった。

そして多大な功績を納めた筈のアランは、クリストファーの存在を闇に葬られ1人寂しく暮らし、最後には同性愛者との猥褻で捕まり自殺にまで追い込まれた。
アラン本人は成功の裏の犠牲の役割を担っていたことが最後に分かり切ない気持ちになった。
個人的評価:名作
ハリ

ハリ