ボブおじさん

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のボブおじさんのレビュー・感想・評価

4.1
いわゆる〝天才〟を描いた映画や小説・エピソードが好きなので、アラン・チューリングの事はよく耳にしていた。その謎めいた人物像に興味を持っていたので、この映画も公開と同時に劇場へと足を運んだ。

第2次世界大戦中、不可能といわれたドイツ軍の“エニグマの暗号”解読に挑んだ実在の数学者、アラン・チューリングの姿を描き、第87回アカデミー賞脚色賞を受賞。

常人とはかけ離れた回転速度の頭脳を持ったがゆえに奇異な存在に見られるが、実は人に言えない悩みを抱えた天才チューリング。そんな彼を遺族が、ベストなキャスティングと大絶賛したベネディクト・カンバーバッチが独特の存在感で見事に演じた。言われてみれば確かにカンバーバッチ自身どことなく孤高の天才感が漂っている。

劇中で描かれるチューリング製作の機械は、後のコンピューターの原点になったとされる。この映画が観る者をワクワクさせる最大の要因は歴史に名高い難攻不落のナチスの暗号〝エニグマ〟の存在だ。エニグマとはギリシャ語でその名もズバリ〝謎〟を意味する。

冬があっての春、闇があっての光。ある存在を引き立たせるためには、その対極にあるものの存在が重要になる。ライバルに例えればより理解しやすいだろう。まさにエニグマあってのチューリングだ。

ノルウェー出身の新鋭モルテン・ティルドゥム監督が描く、この映画の文法に則った構図は多少の誇張もあるだろうが、サスペンス度も高く最後まで目が離せない。果たして暗号は解読できるのか?そしてその先にある彼の運命は…。

〈あらすじ〉
1939年、イギリスがドイツに宣戦布告して第2次世界大戦が勃発。天才数学者チューリングは英国政府の機密作戦に参加、ドイツ軍が誇る暗号機“エニグマ”の解読に挑む。作業にはチェスの全英チャンピオンや言語学者など、6人の天才が集められ、情報部のもと、チームは暗号解読を開始。だが、チューリングは勝手に奇妙な機械を作り始め、仲間との軋轢が深まる。そんな彼をクロスワードパズルの天才ジョーンがかばうのだが……。

公開時に劇場で鑑賞した映画をDVDにて再視聴。


〈余談ですが〉
この映画ではチューリングと心を通わせる女性ジョーンに扮するキーラ・ナイトレイも好演している。

実は彼女の大ファンなのだが、2000年代は光り輝いていた彼女もここ数年今ひとつ役に恵まれていないような気がする。

私のお薦め作品は「ベッカムに恋して」。かなり初期の作品だが、インド系ヒロインの友人役で出演しており気軽に観られる映画だが、とにかく彼女が可愛かった。映画としても面白いので機会があれば是非ご覧ください😊