こーべい

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のこーべいのレビュー・感想・評価

4.1
人によっていろいろな角度でみることができる映画だと思う。

第二次世界大戦中のナチスが使った、当時解読不可能と言われた暗号「エニグマ」。この暗号の解読に、イギリスの若き天才数学者チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)とその仲間が挑む。

戦争が終わったあとも50年以上、イギリス政府から極秘扱いされていた実話らしい。

まず1939年頃のヨーロッパ戦線が舞台になっているだけでテーマとして興味津々だった。
「ナチスの科学技術力は群を抜いていた」
「イギリス本土が空爆されていた」
「イギリス国民は毅然とした対応をしていた」
「無敵の快進撃を続けたドイツ軍が形勢逆転されたのはなぜかー」
などなど、聞いたことはあるけど信じ難いような話が実際にあったんだという点に胸が熱くなる。

ところどころに戦車や空爆シーンを挿入したり、本物(と思われる)白黒映像が挟み込まれたりして、うまく歴史の中に引き込む仕掛けをしている。

一見、天才数学者が難解な暗号を解読するサクセスストーリーのように思うが、実際は同性愛の問題や天才がゆえの「変人」についての苦悩を描いたりと、想定外の展開をみせる場面もあり、最後まで予定調和にならない。
作品の中のキーフレーズになる「時としてそうだと思わない人間が、偉業を成し遂げる」みたいな言葉が気に入った。

たまたま2、3日前に観た『エクス・マキナ』の中で「チューリングテスト」という言葉が出てきてレビューにも書いていたのだが、まさかこの天才数学者の名前「チューリング」に由来しているとは思ってもいなかった。偶然にもこんなに立て続けに「チューリング」についての映画を観ることになるなんて…何かの縁を感じた。

個人的No.1シーンはチューリングの婚約パーティーで同じ解読チームのヒューが、かわいい女の子を口説くシーン。
口説き方も粋だし、その後の展開を知るとある意味あのかわいい女の子が世界を救ったといっても過言ではないはず笑

昔の映画を観るとみんなお酒飲みながら一緒に踊って楽しそうだなといつも思う。ダンスホールにソシャルダンス。
若い男女が仲良くなれるいい文化なのにどうして廃れてしまったのだろうか。