みほみほ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のみほみほのレビュー・感想・評価

3.9
いい意味で期待を裏切られ、不意を突かれて動揺した。最初と最後でこんなに印象が変わる映画もそうそう無いと思う。

いつもレンタルショップでこの作品を気になっては、ジャケットから連想するイメージと自分が観たい映画の気分とが合わなくて棚に戻して…を繰り返してきた作品だったのだが、、 蓋を開けてみてびっくり。

…もっと小難しく、謎と闘う天才の愉快な面白みとトリックを見せつけられる映画だとばかり連想していたけど、この映画は違った。とてつもない天才男の生き様と、そこに秘めた悲しみ、そして人生を捧げた最高機密との闘いだった。淡々としてるけれど、なんて凄い事をやり遂げたんだ!!と振り返り 改めて震える。

映画の最後の文章には心が震えた。
一般市民には想像も出来ない最高機密と闘った男の哀しくも切ない生き様に、泣くつもりはなかったのに 込み上げるやるせなさに胸が痛い。ラストシーンからしばらく泣いた。幸せになって欲しかった…
自分を肯定して欲しかった…

同性愛者に対し、私自身も正直なところ肯定的には思ってなかった。かといって本人達の自由だとも思うし、複雑なところだけど、この作品の時代には 同性愛者が罰せられ、非人道的な治療を受けさせられ変貌を遂げる主人公の姿があり、人間の恐ろしさと同時になんと哀しい無意味な事をするのだろうと苦しみが襲う。

この作品は イメージ以上に凄いものだし、やや難解で集中力も居るけれど、一人の男の人生に歩み寄る素晴らしい一本だった。

独りにしないでくれと感情を乱し、最高機密を暴いた機械をクリストファーと重ねて心を保つ主人公に 心が締め付けられた。


歴史の裏には 謎が多いけど、こんな最先端な形で あの有名な人物や国の裏側を見てると思うとゾッとした。

いやー 凄い作品だった。淡々としてるのに、最後にどっしり重みを乗せてくる素晴らしい一本。
みほみほ

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