miya

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のmiyaのレビュー・感想・評価

5.0
誰しもある。

○プロダクトデザインのきめ細やかさと趣向に驚嘆して、暗号解読機械クリストファーの強烈な存在感は心踊った。

○ベネディクト・カンバーバッチの演技は、この作品ではじめてみた。
彼はチャーミングでキュート、洗練された変態顔かつ端正な顔立ちで何層にもセリフやアクションに解釈を持たせ、観るがわの頭を回転させる。まさに彼が暗号そのもの。

○クリストファーのために机に向かい、合間にランニング、
頭を抱えるシーンは記憶にのこった。

○ジョーンからのアドバイスで仲間をふやすため、みんなにリンゴを配るアランかわいい!もっとかわいいのは、そのタネをも口にしてしまうこと!

○ジョーンのラストあたりのセリフ。
はっきり覚えてないけれど、
「あなたがこの仕事をやってなかったらこの街はなかったかもしれない、今日出会った人に出会わなかったかもしれない」
アラン・チューリングの成し得たことが如何に偉大で、またその代償を払ったかがうかがえる。


○秘め事が今作の最大のキーであり悪であり、謎である。
長年隠されてきた事実やコードを用いて特定の者にだけ伝達する術、アランの性癖やとりまく人物の嘘。

情報を操るのはいつの時代も腰を据えている。
機密レベルはおろか、ぼくらの日常生活にもしばしば顔をみせる。些細な嘘が口からこぼれる。

誰もが上に上に立とうするため、事の次第を円滑に、誰しも己をが一番で、秘密を抱いている。

悪くきこえるかもしれないけれど、それがおそらく人間が生きるということだろうし、それらが文明を発展させてきたのだし、アランが成し遂げたミッションには、コードという知られざる配線を通して人間が人間らしくあるための哲学が表出していたように感じる。

今日までの伝達の礎を築いたチューリング、率直に自身に問うて生き、自らの選択で死を選ぶような人間臭い彼こそ、複雑怪奇なエニグマといえるか。

コミュニケーション(伝達)のコードは良くも悪しくも絡まる。その魅力が作品には暗号と化してありました。



少なくとも家のコードは束ねたい。誰がなんと言おうと束ねたい。
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