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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のtjZeroのレビュー・感想・評価

4.0
第2次大戦時、ナチスの暗号機”エニグマ”を解読したアラン・チューニング(ベネディクト・カンバーバッチ)の半生を描く。


この映画を観ていて、大きくふたつのことを考えました。


① 戦争は”必要”なのか?!

チューニングと仲間たちは、バカでかい(タンス2個分くらいの)電算機を手作りして、難攻不落の暗号機を解いていきます。
この電算機の研究が元になって、後にコンピューターが生まれます。
電脳といえば、インターネットも軍同士の通信回路を基にして作られたとか…。
戦闘機や軍艦、潜水艦の技術が、民間の航空機や船舶に転用された例も数え切れないほどあるはず。

そうなると、ひとつの(恐ろしい)問いが浮かんできます。
「文明の進歩は、戦争のおかげなのか?!」
明確に答えにくい問いではありますが、戦時に命懸けで必死に研究すればこその文明の進歩なのでありましょう。
「だから戦争は必要なのだ!」という好戦論者のたわごとに対抗するには、平時でも必死こいて(命懸けで)がんばれるか…っていうのが大きなテーマになるのかもしれません。


② 英国のたくましさ

チューリングは知能のチカラだけで、巨大なナチスに立ち向かっていきます。
いかにもイギリス人らしい”戦い方”だと思いました。
英国は国土が狭く、資源にも乏しい。
だから、”パワーとエネルギー”の替わりに”カルチャーとインテリジェンス”のチカラで生き残ってきました。
世界最高水準の諜報機関(MI6)を作り上げ、世界最高のロックバンド(ビートルズ)を生み出し、世界最長の映画シリーズ(007)も育て上げました。
まさに、「金が無いなら汗をかけ、腕力が無いなら知恵を絞れ」の精神です。

チューリングの電算機のおかげで終戦が2年早まり、1400万人の命が救われたといいます。
同じく大戦の終結を早めたというアメリカのやり方は、広島と長崎への原爆投下でした。
どちらがスマートかつエレガントか、一目瞭然でしょう。
わが国は政府も国民も米国の方ばかり向きがちですが、英国を始めとする欧州諸国からもっと学ぶべき点が多い気がします。
特にイギリスは、同じ狭い島国ですし、シンパシーを感じてしまうのです。
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