良いものは売れるし、
悪いものは売れない。
ただそれだけのこと。
それは、そう。
そりゃあ、そうだけど、大体の人たちには、何が良くて何が悪いものなのか、自分では判断できていないのではないか。僕にもちっともわからない。絵画なんて、特にそうだろう。
だから「この絵はこんなに良いものなんだよね」って、教えてあげる必要がある。理解してもらう必要がある。そうしないと、ものは売れない。
良いものを作る技術と同じくらい、その良さを教える技術も大切なのだろう。
ウォルター・キーンにはそれが出来て、マーガレット・キーンには出来なかった。だから分業をした。芸術をお金儲けだと割り切ってしまうのなら、それが一番合理的だった。
しかし、伝えるひとが伝えなければ、魅力が伝わらない芸術っていうのは、本当に良いものなんだろうか。
きっと「流行」なんていうのは、良いものかどうかの判断が自分ひとりでは出来ない人たちが「周囲の人間がこんなにも良いって言ってるのだから、きっと良いものなのだろう」って、判断をひと任せにしているだけなんじゃないだろうか。
でも結局、買う人が満足して買えたのなら、誰がなんと言おうと、それでいいんだとも思う。