あなぐらむ

不良姐御伝 猪の鹿お蝶のあなぐらむのレビュー・感想・評価

不良姐御伝 猪の鹿お蝶(1973年製作の映画)
4.0
池玲子が明治維新の文明開化を舞台に舞う!斬る! 鈴木則文の戯画化された様式美の極致。
劇的な浪花節復讐譚(脚本は掛札昌裕と則文監督の共作)を、極彩色に疾走させることで陳腐に落ちないダイナミックな活劇が躍動する。
とにかく池玲子のボディと目力に圧倒される90分、これで当時まだ二十歳前!

殺陣がなんとも美しい。クライマックスの編集の切れ味、まさに「モンタージュ」というショットの積み重ねに唸ってしまう。
あの風呂→雪への全裸の殺陣は、震える程に美しい。冒頭の鳥居のとこも、後半の殺陣も素晴らしい。眼力でがんがん前に出てくる池ちゃん、本当に素敵。撮影は名手・わし尾元也。
荒木一郎の劇伴も変幻自在で良い。

則文監督にはあの全裸チャンバラはずっとイメージとしてあったそうで、この前作で時代劇(「エロ将軍と二十一人の愛妾 」)をやった時に池ちゃんのスジが良いのを感じ、実現させたそうだ。
やはり緋牡丹のお竜の生みの親、則文監督は流石。

池ちゃん、ついこの前まで素人だったとは思えない上手さ。成瀬正孝は池ちゃんと絡みが多くて羨ましいぞ。
クリスチナ・リンドバーグが花を添え(ポスターの異次元感が凄い)、衣麻遼子、丘ナオミ、一ノ瀬レナなど女優のタレントも揃って見応え十分な一作。
河津清三郎、殿山泰司、遠藤辰雄など脇も手堅い。