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砂漠の流れ者のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

復讐劇というのはどうしてこう興味を惹きつけるのであろう。
人間の本能なのであろうか。
「覚えとけよ!」という苦い悔しさ。

砂漠で奇跡的に湧き水を発見したおっちゃん。
事業をしながら、憎き2人の登場を待つというお話。
待ってる間に神父と仲良くなったり、娼婦の姉ちゃんと乳操りあったりする。
ペキンパー監督の復讐劇だから、そりゃもう残虐なシーンがあるのだろうと思っていたら、案外常識的な感じだった。

面白かったのは、自動車の登場シーン。主役のおっちゃんが自動車を初めて見たとき「馬がいないなんてマヌケだ。」みたいなことを言う。自分は登場した自動車を見て、カッコいいなと思った。おっちゃんの強がりなのかもしれないが、当時の人の衝撃や心中というのはいかほどなものだったのか。
主役のおっちゃんが自動車に轢かれて死ぬというのも、比喩であろう。古い時代は次の時代に殺される。単なる復讐のお話しではなく、一人の男の生き様が映画の根底に横たわっていると思った。エンディングでは頭の中に河島英五の「時代おくれ」が流れた。

セックス大好きな神父が登場するが、自分は聖職者が色好きというのに強い拒絶反応をしてしまう。そこらへんのおっさんがスケベなのよりも、とても気持ち悪いことと感じる。なんでそう感じるのかはよくわからない。そのうちハッキリするかも。

「生きていれば泥水をすするような屈辱を経験することだってある」みたいな文章を何かで読んでスゲエなと思ったことがあったが、この映画では主役のおっちゃんがまさに砂漠で泥水を飲む。実際目の当たりにするとその壮絶さにちょっとたじろいだ。
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