ENDO

砂漠の流れ者のENDOのレビュー・感想・評価

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)
4.8
人間讃歌。カメラの忙しなさに眩暈を起こしつつ、アクションのタメの緊張感は異常。ジェイソン・ロバーズ演じるケーブルが輝いている。文盲で看板のSを逆に書いてしまうとかほつれが愛らしさ…というか演者全てが良い。サブリミナルな胸への執着。ドタバタ喜劇。ステラ・スティーヴンス演じるヒルディとの恋愛は多幸感に満ち、その3週間は永遠となる。その付かず離れずな信頼の距離感は見習いたい。去り際の自己犠牲もしんみりとせず次の瞬間、カットバックで墓中へ。馬車から自動車へと移り変わり死んでいく。都会には永久に辿り着けない純朴さ。ヒルディが旦那を腹上死させ莫大な遺産を受け継いで戻ってくる寓話性。その揺り戻し。神を全く信じない襟反転仕様着用の牧師ジョシュアの俗物性=順応性。文明の利器サイドカー付バイクでケーブルの死に間に合う心憎さ。デヴィッド・ワーナーの淡々とした色魔牧師の魅力に打ちのめされる。全てが映画の高揚感に包まれる傑作。
ENDO

ENDO