「神が女に与えた物の中で一番素晴らしい物は乳房だな」
サム・ペキンパーというよりはハワード・ホークスの映画みたい。
だが「サム・ペキンパーには珍しく暴力描写がない」という触れ込みで観たら、冒頭のトカゲが吹き飛ぶ場面で不意打ちを食らった。
ケーブルが数日間砂漠をさまよう場面と、湧き水の周りを開拓していく描写を4分割画面でテンポ良く観せてくれる。
登記書をもらって嬉しさのあまり小躍りしたり、捨て犬のような顔で35ドル貸してくれるよう懇願したりと、主人公のケーブル・ホーグがとてもチャーミング。
サム・ペキンパーの代名詞と言えば、銃で撃たれた人間がスローで倒れる場面をカットバックで見せる演出だが、本作ではまさかのヒロインのオッパイの連続カットバックに苦笑い。
本作はケーブルの復讐を軸にしてる割にはボーエンのことはあっさり許すし、終盤が冗長。
というか、ケーブルを車に轢かせる事で彼が文明に殺される様を抽象的に描こうとしてるのは解るが、轢かれる場面はギャグっぽく描いてるからその後ぽっくり逝ってしまうのが唐突に感じた。
時代に取り残される男の死に様でも『ワイルドバンチ』とは大違い。
ペキンパー本人が自身の最高傑作と言おうとも、自分はやはりバイオレンスのペキンパー作品が好きだ。