LEO

それでも恋するバルセロナのLEOのレビュー・感想・評価

それでも恋するバルセロナ(2008年製作の映画)
3.8
原題「Vicky Cristina Barcelona」。
何で邦題にするとこうなっちゃうのかなぁ?
そこは置いておくとして…、本編かなりの時間が説明ナレで進行していく。
普通なら映像と演技で見せてくれよと言いたくなりそうなもので実際自分も最初の方は「ナレが多いな」と思ったが、次第にそのお陰で誰か1人に過多な感情移入する事なく観ることが出来る事で面白さが分かるのかと思えたのがウッディ・アレンの演出の妙なんだろうな。

内容は原題通り、自由奔放な恋愛観を持つクリスティーナと、最初はそれを嫌悪するが次第にそこまで踏み越えられないジレンマにもがくヴィッキーのスペインでの恋をきっかけに展開するのだが、2人ともいろいろ経験して変化・成長したのかなと思いきや最後は結局ほぼ元通りに戻っていく。
「人間はそんな簡単に変わらないよ」というウッディ・アレン流のシニカルなメッセージが、最初の車でのシーンと最後の空港での2人の配置と空気感に込められているようで面白い。

管理された全体主義社会へのジレンマを、
屈折した暴力やセックスなどで描いたキューブリックの「時計じかけのオレンジ」を思い出したのは自分だけでしょうか?
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