おとなのみほん

誰よりも狙われた男のおとなのみほんのレビュー・感想・評価

誰よりも狙われた男(2014年製作の映画)
5.0
さよなら、ホフマン。

怒り、苦悩、憎しみ、無力。
彼の言葉ない横顔。
その瞬間、全ての人が顔を上げた。


映画の完成度としては、今一つだし、好きなところも見つからない。見比べれば見比べる程、たいしたことないなあと思うし、胸を抉るほどのなにかもない。
だけど、私的には「映画」を支え続けて来た一人の俳優としてのホフマンにスポットを絞りたい。彼が居たから輝けた俳優に光が当てられるのを、傍らからしずやかに見て居たこともあったろう。
台詞回しの下手くそな甘いマスクの男優が演じる役を欲した時だってあったろう。
酒を我慢し震える手で台本を握り締めて、クソ溜めハリウッドで生き抜いて確固たる主役枠の椅子取りゲームを勝ち抜いたフィリップ・シーモア・ホフマン最期の主演作。
私の点数で0.1点でも平均点が上がって、これを観る人が一人でも増えれば良いとおもう。


つまらないよ?つまらないけど、時として映画は俳優自身の人生の在り方を垣間見せて、その生き様に自分はどれだけ人生に情熱を注いでいるのかと言う圧縮されたひとつの終わりを提示してくることもある。
そういう意味でホフマンは間違いなく、街灯のような穏やかなひとつの光を見せてくれる俳優だった。

さよなら、ホフマン。