スパイ映画なのにアクションはほぼ皆無。物語は終始静かに淡々と進むけど、決して退屈ではありません。むしろヒリヒリとした緊張感が漂い、最後まで目が離せません。諜報員の現場って実際はこういう感じなんだろうなと思わせるリアルさがあります。
同じジョン・ル・カレ原作で名作の誉れが高い「裏切りのサーカス」は、個人的にまったくちんぷんかんぷんだったのですが、こちらはストーリーがもう少し分かりやすくて楽しめました。
フィリップ・S・ホフマンの哀愁たっぷりの演技が素晴らしく、つくづく惜しい俳優さんを亡くしたと思いました。他のキャスティングも良いし、切ない音楽もぴったりです。意外なラストといい、とても深くて素晴らしい作品でした。
