♪ 甘い罠と裏切りで溢れた
コンクリートの街は幻
信じられるものなどない
みんな消えてしまえ
『仁義なき戦い』第三弾。
前作の菅原文太の兄いは狂言回し的な立ち位置でしたが、本作は堂々ど真ん中。心底ムカつく山守組組長も出番が増えているし、前作でなかなかの存在感を誇った松永の兄貴も再登場。世界観がブレていない…というのは大切ですね。
ただ、驚いたのが梅宮辰夫さんの再登板。
しかも一作目で演じた役柄とは違うんです。眉毛がないので(消したのか抜いたのかは分かりませんが)違和感は少ないものの、やはり微妙な感じがしちゃいました。
でも「そげなことはちまい話じゃあ」と言わんばかりの迫力は相も変わらず。見栄とか、保身とか、事なかれ主義とかが大きな抗争に発展していく様は人間社会の縮図とも言えるわけで。暴力が暴力で対抗する物語は圧巻です。
それに誰も彼もがクズばかり。
文太の兄いや、小林旭さんが演じる武田の頭も“スジが通っている”ように見えますが、やはりヤクザはヤクザ。暴力で人を屈服させようとするのは変わりません。
勿論、それよりもクズがいますけどね。
山守組組長を筆頭に、田中邦衛さん演じる槙原とか、加藤武さん演じる打本とか。よくもまあ、これで組長として子分を引き連れることができるな…と思うほどにケツの穴が小さくて。文太の兄いの格好良さが際立ってしまうのも当然だと思います。
まあ、そんなわけで。
どこからが本番か分からなくなるクライマックスに次ぐクライマックス。本作は広島抗争の「前編」的な立ち位置なんで中途半端なところで終わってしまうのが残念ですが、その分、血が滾るのも間違いなし。これまた傑作です。
最後に余談として。
♪チャーン、チャーン、チャーン
という特徴的な効果音。これを使うのは一作目だけだったんですね。本作の途中で気付きました。勿論、それを感じさせない音楽担当はスゴイです。熱量が上がりっぱなしですからね。