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革命の子どもたちのodyssのレビュー・感想・評価

革命の子どもたち(2011年製作の映画)
2.0
【映画界には非常識な人間が結構いる】

私は某地方都市に住んでいるのですが、そこのミニシアターが出している雑誌(といってもきわめて薄いもの)に、以前、奇妙な記事が載りました。重信メイについて書かれたもので、彼女のお母さんは若い頃はすごい美人だった、などと述べているのです。重信メイの母、つまり重信房子がテロリストである、ということには一切触れずに、です。

映画界にはわりに非常識だったり、政治的常識に欠けた人間が多い、というのが私の持論ですけど、このドキュメンタリーを見て、特に登場する日本人についてその感を深くしました。

この映画ではかつて(1960~80年代)テロリストとして勇名を馳せた女性ふたり、つまり、ドイツ人のウルリーケ・マインホフと日本人の重信房子を扱っています。いずれも娘がいて、その娘へのインタビューが中心になっており、他に関係者へのインタビューも含まれている。肝心のウルリーケ・マインホフは死去しているし、重信房子は刑務所の中にいるのでインタビューができないからです。(その後出所しましたが。)

このうち、ウルリーケ・マインホフの娘のほうがまだいい。彼女は母親に或る程度の距離をおいているし、すでに自分にも子供がいて、今はそちらのほうが大切と言い切っている。

これに対して、重信メイのほうはまだ母親離れができていない。その価値観を距離をおいて見ることができていない。こういう女性をテレビのコメンテーターとして採用している日本のテレビ局って、何を考えてるんですかね。

重信房子については、重信メイ以外でも、基本的にシンパしか出てこないのも首をかしげる部分。テロリストで裁判で有罪になり刑務所の中にいる人間について、シンパにしか取材しないという作りは、制作側がどういう人間であるかを明らかにしていると言えるのではないでしょうか。
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