森崎

小林賢太郎プロデュース公演 「LENS」の森崎のレビュー・感想・評価

4.0
小林賢太郎プロデュース「KKP」の四作目となる演劇公演。
幽霊が出ると噂の図書館で起きた大量の書籍盗難事件に書生の天城と警部の駒形が挑む。

難しいことは言わない。あー面白かった。
書生と警部と巡査と司書と車夫、登場人物はこの五人。しかもその五人は現場検証としていわば密室に近い状況で一度登場したらほぼ舞台に出ずっぱり。小林賢太郎作品はポツネンやカジャラをいくつか観たことがあるけれど、そこで見られるような実験的な映像を取り入れたり言葉遊びをふんだんに散りばめたりというものではなくこの公演では純粋に会話劇が繰り広げられ、いつしか演劇としてその空間に夢中になっていたことがまず印象に残った。
だからといってガチガチに練り上げられた芝居という訳では無く、何気ない会話のように相手やその場の空気を受けて突発的に入るアドリブや日替わりネタかなと思う箇所が面白い。小林さんは久ヶ沢さんのこと好きなんだなあと思ったり西田さんはアドリブやツッコミはちょっと苦手そうだなとか思ったり。みんな可愛いかよ。

初めて小林賢太郎の公演を観たときに、客が小林賢太郎の創り出すもの以上に彼自身の存在を求めていること、どんな面白いことが起こるのかと笑うための下地が出来ていて客席が既に温まっている雰囲気を感じたことを覚えている。面白い人達の集まりで何を仕掛けてくれるのか、こうしたことがなにより皆をわくわくさせるんだろう。


車夫の愛宕屋駿菊役の西田征史の喋りが良いなあ、初めて知ったけど上手いし男前だし。と思っていたら今は脚本や監督業をメインにタイバニや朝ドラを手掛けたらしく驚いているし何度かホームページを見たことある事務所の所属でいろいろ驚いてる。いろんな人が集まっているな。
森崎

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