竜平

ヤング・アダルト・ニューヨークの竜平のレビュー・感想・評価

4.0
とある40代夫婦が出会う20代夫婦。やがて変化していくそれぞれの夫婦模様と巻き起こる騒動。コメディタッチのヒューマンドラマ。

ドキュメンタリー映画監督役のベン・スティラーにその妻役のナオミ・ワッツ、映画監督を志望する青年役のアダム・ドライバーにその妻役のアマンダ・セイフライド。このキャストたちの味のある演技が光りまくる。それぞれの人生設計や現在進行形の問題などが絡みつつの、これぞジェネレーションギャップと言える内容。年配から見た若者の姿、そこに宿るパワーとかまだ擦れてない感性とか、こういったものには年々引け目を感じるようになってる、ってのは個人的な話ね。そんなこんなで劇中の40代の二人はなんというか世間にあまり流されず自由に生きてる夫婦。年齢なんてのは関係ないはずなんだけど、でもそこには環境とか同年代からの目線とかも確実にあって、その様というのがなんとも世知辛い。片や20代の二人、とくに夫の方は何やら人生のプランがしっかり見えてて、自由奔放でありながらもなんというか「しっかりしてる感」が漂う夫婦。作品通してのこの対照的な描き方というのがまずおもしろい。人に取り入るのが上手い、けど気取らずそれをサラッとやってのけちゃう人物をアダム・ドライバーが好演。こういう天才肌のような嫉妬の対象のような人、いるいる。

そんな感じでヤング層とアダルト層の間にある感覚のズレ、本人たちが感じる憂いや抱える様々な悩み、何よりそれぞれの在り方というものを克明に映し出しつつ、今作は更にそこにストーリーのおもしろさが掛かる。本物と偽物、プライドや固執といったものと「ドキュメンタリー映画」という劇中での題材との掛け方が非常に上手い。これは鑑賞する側の年齢によっても、共感できる部分や否定したくなる部分というのが変わってくる気がする。皮肉っぽさもありつつ、またそれぞれの年代のいいとこわるいとこをとことん描きつつも、なんやかんやで最後にまるっと肯定してくれるような、「まぁ大変だろうけど頑張ろうよ」と言わんばかりの包み込み方よ。ノア・バームバックは毎度本当に良きヒューマンドラマを提供してくれるなぁなんて。

30代の自分からしたら、登場人物たちのちょうど間の世代というのもあってかどちらの感覚もわかってしまうようなところが多々あって、なんか本当に、いろいろ身につまされる想い。観客側の価値観とか懐の大きさみたいなものも試されてる気がするなこれは、ってのは完ぺき妄想ね。おしまい。
竜平

竜平