ぐりこ

アウェイデイズのぐりこのレビュー・感想・評価

アウェイデイズ(2009年製作の映画)
4.0
2009年の製作から10年の時を経てようやく日本初公開、うれしい。
ロックとドラッグ、そしてフットボール。70年代末カジュアルズと呼ばれたユースカルチャーを背景に、若者たちの刹那的な生き方と苦悩が描かれる。
UKユースカルチャーを扱った映画としては、『さらば青春の光』や『白い暴動』などと並ぶマスターピースだと思う。

エコバニのギグで出会ったカーティとエルヴィス。
収入のすべてをクラブ、レコード、サッカーに費やしながらさらなる刺激を求めるカーティ。エルヴィスは、ピーターストームにフレッドペリー、ロイスのジーンズ、そしてアディダスのスニーカーを身に纏ってスタジアムで騒動を起こすギャング集団"パック"の一員でありながら、カーティの様に芸術、音楽、詩、そして死について語り合える友人をずっと求めていた。
すぐに2人の間には誰にも邪魔されない友情が生まれた。
しかし、エルヴィスがその友情にのめり込む一方で、カーティはパックへの憧れを深めてエルヴィスの忠告にも関わらず危うい世界の扉を開いていく…。
そこで描かれる2人の青年の相愛とすれ違いの不安定は、普遍的ではないけれど人々の心に届くものだった。


UKロック好きとしては流れる音楽に触れずにはいられない。不安定な物語をJoy Division、Ultravox、The Cure、Echo & The BunnymenといったUKポストパンクが不穏を増幅させていて、胸に刺さった。

「終わりなんだろ?俺たちはもう――。」
ぐりこ

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