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非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎のGTのレビュー・感想・評価

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誰にも見せる気などなく、一万五千ページにも及ぶ小説と数百点もの挿絵を描いたアメリカのアーティスト、ヘンリー・ダーガーのドキュメンタリー。「誰にも見せるつもりがない」と書いた通り、死後その努力が認められ有名になったアーティストだ。世間的には病院の掃除夫として貧しい暮らしを送り、また幼い頃のトラウマのためか人付き合いも恐ろしく下手、というお世辞にも幸福な生涯を送ったとは言い難い人。そんな彼の唯一の心の拠り所が、「非現実の王国で」という、所謂ファンタジー小説だった。彼は自らが作り上げた「王国」で、自らの孤独を慰めていたのである。「うわっ、サミシイ〜、こうはなりたくないネ」。現代の醜悪な価値観の元なら、こんなことを言う奴が大勢いそうだ。全くふざけるなと言う話だ。芸術というのは、孤独で、世間から阻害された者に、唯一残されたオアシスなのだ。私も実は創作者なのだが(自分語りごめんなさい)、ヘンリー・ダーガーはその芸術にかける熱意という点で、私の目標である。
…とここまで長々と書いてきたが、これではヘンリー・ダーガーのレビューである。映画としてはどうかというと、ドキュメンタリーをあんまり見たことがないので映画そのもののレビューがムズイ…。ダーガーの絵がアニメーションみたいに動く演出は凝っててすき。説明が結構抽象的というか分かりづらいため、ヘンリー・ダーガーを全く知らない人が見ても「???」となりそう。
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