※ちょっと感情を揺さぶられたので長くなります。
どこか地味な雰囲気で、最初から全容を把握させてくるのでハラハラ感は少ない。そんでもって色々な映画にありがちなことなので、記憶からはすぐに消えていきそうな印象。だけどこれがなかなか面白くて、目が離せなかった。
恐ろしさの部類的には『エスター』や『ゆりかごを揺らす手』を思い出した。というか似てる。
まぁ『エスター』より先に作られた作品なので関係ないけれど、時代が進みインパクトがよりパワーアップして一捻り工夫した作品が『エスター』なんだなって思う。恐ろしさと静けさは『ゆりかごを揺らす手』に近いかな。
特に『エスター』とは異変を感じた後の対処への夫婦間の意見の相違の描き方が似ている。だけど夫婦間の絆は、『エスター』よりは強めで夫婦も大人に思えた。と思いきや… やはり客観的に見ても男は馬鹿だ。取り込まれて騙されると、調べもせずに決めつけて判断する。 逆に女は勘は鋭いけど、感情的になって物事を決めたり 自分の行いには目をつむり居場所を取られる事に過剰に反応する。
向かいの家に住むメルも 本当に嫌な女。
誘ったのは自分の息子なのに。よそ者を毛嫌いするとか 陰湿な田舎の古いしきたりか!
近所のおじさんもそう。誘惑して しまいには脅迫して迫ろうとして…最低だった。
ベビーシッターに扮した女性がサイコ扱いで悪いのは当たり前だけど、それはともかくこの母親にも首を傾げてしまった。
女性の社会進出は分かるけど、あれじゃベビーシッターに取り込まれても仕方ないと思う。住み込みだぞ住み込み。子供から目を離し過ぎ。
住み込みのベビーシッターを頼んだのに、いざ子供を手なづけられ アビーに懐いてしまうと複雑な顔をする。それを望んでたんじゃないの?最初は仕事も家庭も楽しむ余裕を出してたのに、子供との時間をアビーが補ってからは 休みだって子供と一緒に過ごさず友人と買い物。
そしてまるでアビーが母親みたいな家庭になっていき自分が蚊帳の外なんだけど、そりゃ友達と若い乗りで買い物に行ったりしていれば 自然とそうなるわ。
アビーが死ぬ直前に言ったセリフが全てだと思う。目を離して他人に預けたのだから。
アメリカって女性の社会進出とベビーシッターが普及してるからこそ、こういうサイコな作品がよく作られると思うけど、小さなうちくらいはもう少し側にいてあげて欲しいと思う私の感覚が古いのだろうか??
アビーの人柄は危ないけど、辛い経験があった上で形成された性格なので、ぬくぬく育った子供達を見るとなんだかやるせない気持ちになってしまう。彼女みたいな人に安らぎを、そしてもっと幸せになって欲しい。愛を受けて欲しい。
アビーみたいに 歪んだ人格が出来上がらないように、子育てには責任を持たないといけないって戒めと、子にとっていかに親が必要かがよく分かった。
『彼女はクビね』で締めくくられる映画、
『母親はクビね』って返してやりたい。
本編よりも 母親のあり方について
感情的になってしまう内容でした。
ここまで考えさせるのは逆に凄い。
いや、考え過ぎる私が凄いのか?
やはり女性って大変だ。本当に。
客観的に見てもここまで思うけど、自分がやったらどうなるのだろうか?
旦那が弁護士であっても 経済事情的に子供がまだ小さいのに 離れなくてはならないなんて、切ないな。
とにかく飽きずに面白かった。
アビーには違う形で幸せになって欲しかった。
とサイコ美女に感情移入してしまったお話でした。あれを怖っ!って流せる人は、幸せなんだと思う。