ドント

リヴァイアサンのドントのレビュー・感想・評価

リヴァイアサン(2012年製作の映画)
4.4
 2012年。音と映像にビンタされ続けた…………。遠洋漁業の船、海、空、それらの荒れ狂う様をGoProがしっかと撮って、ナレーションも音楽も字幕もつけずにぶっつけてくるモノスゴい原液撮って出しドキュメンタリー。
 引くチェーンとモーターの軋みは悲鳴の如く、腹を膨らませて上がってくる網はさながら孕んだ悪魔のよう。そこから吐き出される魚魚魚の生々しさすさまじく、さらにカメラは甲板を揺れながら行き来する魚の中に飛び込む。ダメ押しとばかりに漁師が魚をバラし集め、船の横から不要部と真っ赤な血が海へと放出される。夜の空や曇天には無数のカモメが舞い、海は白くまた黒くうねる。
 これらの情景をほぼゼロ距離で見せつけてくる。さらにカメラは海にまで飛び込む。船の腹、邪神のようにたゆたう網、天地はひっくり返りもはや現実感は失われ彼岸の景色のようにすら見えてくる。殊にカモメと空と海中の絡み合いはとてつもなく、脳が裏返るかと思った。いやこれはすごい。「ナマ」の迫力が横溢して冥界の領域にまで達している。異界とかクトゥルフとかはたとえばこういうモノなのかもしれない。いやこれはすごい(2回目)
ドント

ドント