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不機嫌なママにメルシィ!のめのレビュー・感想・評価

不機嫌なママにメルシィ!(2013年製作の映画)
4.4
なんの予備知識も入れずに、聞いたことある題だなぁと思って観た、フランス感じる名前のギョームが主人公のコレ。
主役というより、主人公といった感じ。
ギョームは彼の本名で、内容もすべて彼自身が体験したこと。
彼と、彼の”不機嫌なママ”のための映画。

自分には女性的な面があるし、どっちかっていうと男が好き。
な気がするだけで、まだ確信は持てていないギョーム。
スポーツ好きな父親に無理矢理入れられた寄宿学校で、好きな人(もちろん男)ができる。
それはきっと恋だったんだろうけど、相手の方は普通にストレートで彼女持ち。
初めての恋(かどうかは分からないけど)は特に何も起こらず。

ある日、彼は最愛のママに”あなたは、いわゆるゲイなの?”と指摘される。
そんなん僕の方が分からんわといった感じのギョームは、自分探しの旅、というより男性と関係を持ってみよう作戦に出るが…。

さすがフランス。
隅から隅までお洒落。
あえて漢字で書く、お洒落。

とりあえず始まりが!
ステージに立った、さあ、歌でも歌うのか?と思わせておいて、いきなり語り出し、ステージにはいつのまにか、ベッドやらなんやらの小道具が揃っている。
現実世界の”彼”が演じる、映画の中の”彼”が演じる、ステージの上の”彼”が、コマを進めていく。

そしてお得意のよく分からんまま終わるということもなく、サックリとシンプルに終了。

何がおもしろいって、85分間”よく似た親子だな、よくあんな似たの見つけたわ”と思っていた自分がおもしろい。
フライヤーに1人2役とバッチリ書いてるあるじゃないか。

この映画の良いところは、意外と深いということ。
ママは、僕にママだけを好きでいて欲しかった。
いつでも不機嫌な”ふり”をしているママは、本当は僕が大好きで仕方がなかった、と私は思う。

”新しい”映画だった。
かなり複雑なテーマを、ユーモアも交えてサクッと魅せてしまうギョームはかなりのセンスの持ち主。

まさか”イヴ・サンローラン”のパートナー役だったなんて。
あの映画の時、彼はゲイだった。
やっぱりそういう要素アリなんだろうか。
あんなに厳しくて、笑わない役を彼が演じていたなんて。
全くの別人過ぎて、なんか見たことある顔だなくらいにしか思わなかった。
役者ってすごいな、と今更驚いてみる。
め