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ジミーとジョルジュ 心の欠片を探してのTenKasSのレビュー・感想・評価

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フロイトな映画。精神分析的に読めるというよりは、まるっきり精神分析の映画。
インディアンの患者とユダヤ人の精神分析医。暴力によって抑圧された歴史をもつ2人の精神は、その歴史から受けた傷が身体に転換として現れる。1人は頭痛、1人は目の障害。名を偽ることなく生きることのできない2人が互いを信頼して自らのアイデンティティをある種取り戻すというか再確認する。
アメリカで撮られ、お馴染みのキャストはマチュー・アマルリックのみ(エマニュエル・ドゥヴォスがいないだけで寂しいのは私だけですか?)と今までとは状況は違うが、しっかりアルノー・デプレシャン映画的な表現が使われているので、見た目で「デプレシャン映画ですね」と分かる。そもそも題材からして、デプレシャンは精神病、精神病棟というものを必ず何処かにいれていた気がするが、それがメインに据えられた感じかな…?
人間の心理に寄っていくようなズームインは、基本的に大人しいカメラの中ではかなり異質に映るが、とはいえ映画全体としては地味なのも確か。でも撮影綺麗だし好き。そしてやっぱりハワード・ショアって最高。ハワード・ショアはフロイトとユングが題材のクローネンバーグ映画の音楽もやってなかったっけ…
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