頭が痛くなるほど泣いた。泣いて泣いて泣いて、今目の前にある「無限」を愛してみたくなった。
甲状腺末期ガンであるヘイゼルは、幼い頃から自分の死を理解していて、恐れていた。でもそれは自分の死に対する恐怖じゃなくて、自分が死んで周囲を傷付ける恐怖。自分が居なくなった後の世界。
そんな折、彼女はオーガスタスと出逢う。二人は「小さな無限」の中で、精一杯の恋をした。終わりがあると分かっていて、それでも愛した。
この作品はただの悲しい物語なんかじゃない。わたしたちはどうしたって目の前に居る人との別れから逃れられないし、どんなにその別れが辛くとも生きていく。その人を忘れたみたいに、残酷なほど前に進むことだってある。それでもその強さは、その人と出逢って得た強さだ。限られた時間の中で愛し合うこと。それは無意味なんかじゃない。
手に入れたいと、思った。夜空に浮かぶたくさんの星なんかじゃなくていい。たったひとつ。無限の先にあるたったひとつを。
今までたくさんの映画を観てきたが、これほどまでに幸せなベッドシーンを、わたしは他に知らない。