フラハティ

きっと、星のせいじゃない。のフラハティのレビュー・感想・評価

3.8
退屈で苦しい闘病生活が、あなたのおかげで星のように輝いた。


ティーンムービーにふさわしいほどキラキラしている主演二人。
でも二人は命に関わる病を抱えている。
いつ死ぬかわからない。

確かに闘病ものではあるんだろうけど、前向きな二人の明るさにより、押し付けな感動は全くなく素直に感情移入をしてしまうね。
やっぱり生死という概念に何度も何度も触れているから、考え方もすごく大人っぽい。

あと、本作は病気というものが関わっているからなのもあるけど、親の立場とかにも触れている。
本作ではやっぱりローラ・ダンで、自分の娘が死ぬほど辛い生活を続けているのに、親として何をすることが最善なのかがわからない。
娘が何を思い、どう感じ、症状がどうなっていくのか。
苦しい姿ばかりを見ていた母親なりの苦悩の描きもよかったなあ。


タイトルには『星』という言葉が使われている。
地球で見ることができる星は、実は意外と少ない。
見ることができない星のほうが多く存在している。
人間の歴史において、名を馳せるほど有名な人間(地球から見えるほど輝く星)でなくとも、誰もが誰かの人生を支えているもの。
今の日本だって、目に見える政治家よりも、目に見えない一般の人たちが頑張って支えている。
本作で唯一見える星の扱いでもある有名な作家(アンネは除外)。
この立ち位置で描くのは上手い。


辛く苦しい毎日をおくっているからこそ、今この瞬間に生きていることを感じられる。
平凡な生活が嫌だと嘆く人や、自らの命を絶とうとしている人には到底感じられない感情なんだろう。
当たり前が永遠に輝く。
どれほど素晴らしいことなんだろう。
人生が限られている。
だからこそ無限の喜びを感じたい。


きっと、誰もの人生には筋書きがある。
どんな結末が待っていようと。
自分という主人公がいなくなっても世界は続いていく。
父も母も最愛の人も。
たとえ命が先の見えたものだとしても、今が幸せであるならば後悔はしないだろう。

僕たちが住んでいる銀河系の星の数は2000億あるという。
そのうち肉眼で確認できるのはたった8600程度。
多くの星は人間には見られることなく存在している。
僕らの人生だって、多くの人からは見えることはない。
でも大切なあの人が見てくれている。
忘れないでいてくれる。
そんな星のように、小さくても輝ける人生であれば。
きっと後悔はない。
Okay.
フラハティ

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