ヒメ

きっと、星のせいじゃない。のヒメのレビュー・感想・評価

4.3
命の長さには個人差があり、寿命ともいう。
例えば私の祖母が100年生きて亡くなったら、寿命だからね、と言えるでしょう。
でも10代の若者の、病気という不本意な理由では、それはあまりにも短過ぎる。
オーガスタスという青年に「土から生まれた人間は、一生を終える時、土に戻る」などと悟らせ、ヘイゼルという少女には死ぬ事への恐怖を何年も味あわせる。どうせなら、最後までこの脚本オーガスタスの涙も私は見たくなかった。なんて残酷な映画、お話なのでしょう。

それでもこの映画が好きなのは、
アムステルダムに訪れアンネの住んでいた部屋まで無理して階段を登ったヘイゼルのあの時の気持ち。
そして自分の死後、残された者へのヘイゼルの想いが、冒頭から最後まで丁寧に描かれているところ。
ヘイゼルは以前自分が死にかけた時、「母親をやめたい」と泣き崩れる母の姿を見てしまったから、自分の死後、母親が一日中壁を見つめて死んでしまうのではないかと心配で仕方ない、だから、途中で話が途切れている「大いなる痛み」という本の結末に拘った。それを知りたかったのも、残された人がどうなるのかを知りたかったから。

先に亡くなってしまったオーガスタスのお葬式でもヘイゼルは「お葬式は死者の為では無く生きている人の為のもの」と考える。確かに、生前あった様々な絆を確かめられ家族としては気持ちが楽になるものです。私もこの歳で既に経験してしまったのでわかります

広く愛されるより深く愛される事が大事。
100万人の愛より1人の愛。
同じように病に冒されていても対照的な考え方だったふたりが同じ想いに変わり、無限の愛が残りました。素敵な映画なのですね。
ヒメ

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