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悼む人のkyのレビュー・感想・評価

悼む人(2015年製作の映画)
2.6
TSUTAYAで準新作が100円だったこともあり、ずっと借りないでいた映画。高良健吾が主演ということで、正直期待し過ぎた感が強い。ストーリーに中々感情移入できないで終わってしまった。

それでも、役者さんの演技は素晴らしかった。
高良健吾の死者に寄り添う様に語りかける悼み方。
石田ゆり子の暗い表情。
椎名桔平のどこか憎めない役柄。
井浦新のサイコパス感。
大竹しのぶのさすがの演技力。
登場人物すべての人に心の闇を感じられて、そこがリアルだった。

なぜ亡くなったのかを記憶するのではなく、その人が誰に愛されていたのかを記憶する。
犯人を恨むのではなく、死者を覚えておく。
犯人を恨めば、犯人のことだけを覚えてしまい、死者は二の次の存在となってしまう。
それでは悼むことにならない。
孤独のまま死んでいくと、誰にも語られず死んでいくのみ。
だからこそ、存在していたという何かを生きているうちに残したい。それは、モノでなくても、思い出だっていい。
そういう意味でも、明日ではなく、今を精一杯生きなければならないなと改めて思った。

悼むって、つまり自分が死ぬその時まで、自分の人生に深く関わってくれた者を最後まで忘れないことなんだと思う。
死んでしまったことを悲しむよりも、あの時あの場所で、あなたとこんな会話したよね、とか、こんなもの食べたよね、とか、懐かしんであげる方が先に死んでいった者にとっては嬉しいことなのかも。
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