人間の脳は10%しか働いていない。もし100%働いたらどうなるのか?というSF的思考を土台にしたお話。
10%しか脳の働いてない人が、100%脳が活性化した天才を描いたらこうなっちゃった(笑)って感じの映画。同設定で2011年に公開された「リミットレス」が面白かったので、ついでに試聴しました。監督は「タクシー」や「レオン」のリュックベッソン。
これは…ヒドイ作品でした!!まず10%しか脳が働いてない人が、100%脳が活性化した人間を描くなんて不可能なのでは…?それはIQ80の凡才がIQ300の超天才を創造するようなもので、そもそも設定の時点から無理がある気がしてならない。
「リミットレス」はその辺を理解してたからこそ、地に足のついた頭脳戦に終始してたのかなと思った。あくまで現実に根差した頭脳戦なら、脳みそが10%しか動いてない私たちでも、何が凄いのか理解できる。
ただ「ルーシー」はまともに頭脳戦することを序盤から放棄し、派手なアクションに走っている印象。前述の通りIQ80の人がIQ300の天才を創り出すのは不可能なので、ボロが出ないようアクション全開にして誤魔化したのだと思うけど、さすがに意味不明でした。
脳が20%活性化した時点で、人の頭に手を当てればニューロンの振動から相手の思考を読み取れるなんて納得できないし、そもそも脳みそが活性化したら体外の物質を自由に動かせるってどういうこと?と、シンプルに理解できなかった。
また脳が90%活性化した時点でタイムスリップしたり瞬間移動したりしてたけど、それに対する妥当な説明は一切なし。ラストもおそらく大風呂敷広げたのに収集出来なくなったんだろうなって感じの終わり方。早い話、視聴者を舐めてるの?と感じた。「へえ!脳が活性化したら瞬間移動できるんだ!」この映画を見てそんな風に軽々しく納得できる人なんていないと思うのだけど…
というかそもそも物理法則を無視しすぎたアクションシーンなんておままごとだし、良くて茶番。ラストシーンでのセリフ”I’m everywhere.”「私は至る所にいる」もあまりに陳腐すぎて発狂しそうでした。この90分はなんだったんだ!と叫びたくなった。
つまり何が言いたいかというと、序盤の20分以降、完全に置いてけぼりを食らって全く楽しめませんでした。この映画で唯一評価したいと思った点は、尺が87分しかないところ。(180分の拷問と90分の拷問なら、後者の方がずっとマシですもんね)
「リミットレス」での知的なアクションシーン(主人公が、過去に映画で見たアクションスターの挙動を思い出しながら殴り合うカッケェ場面)を見た人が「同じ設定で、よりアクション全開にしたら面白いのでは?」という安易な発想で作ったような作品でした。期待してたのにこれほど酷評してしまうとは…誠にイカンです。