R

ねこぢる草のRのレビュー・感想・評価

ねこぢる草(2000年製作の映画)
3.9
引っ越しで忙しくて映画見てなかったけど、ようやく落ち着いて再開。ほんの30分の短編アニメで、軽く見て寝よと思ってたら、あまりにもわけがわからない内容で、1回目は眠りに落ちてしまい、気を取り直して、2回目、それでもまだよくわからないので、3回目。で、ようやく全体の流れがつかめた。が、果たして内容をちゃんと理解しているかと言われると、Noooo。一応ストーリーの流れはあるねんけどな。主人公である少年ネコが、死神?に半分魂を奪われたおねいちゃんを連れて、ママに頼まれた油揚げのお買い物に行く。っていう。それだけ。けど、途中、鯨サーカスに立ち寄って、そっからとんでもない目に遭っていく。全世界が大洪水に沈められてしまって、その上を船旅行。と思ったら、今度は、大洪水から神様に掬い上げられた地球が、大旱魃。さまざまな突飛な出来事をくぐり抜けながら、果たしてふたりは無事にお揚げの買い物から帰還できるのか。そのなかで、さまざまメタファーを用いて、いかにネコが、てか、人間が、いろんな意味で絶望的な存在であるかを描いてあるように見える。最初見たときは特になんも感じなかったんやけど、考えれば考えるほど、ダークな人間観。出てくるやつらみんな自分の感覚を喜ばせることしか頭になくて、他人がどうなろうとおかまいなし。だれも彼も環境に振り回されっぱなし。運命の激流に何とか抗えてるか抗えてないか、わからないくらいの動きが出来れてればまだマシな方。ほんで最後ははかなく、何ごともなかったかのように消えていく。これ見ると気分が落ち込むわー、と言ってる人がいるのもわからなくない。心が弱ければ、本作の深い絶望に引っ張られてしまうのかもしれない。確かにコミカルな雰囲気の奥に、不気味で、魔力めいた、異様な静けさがある。画はものすごくデフォルメされてて、ぱっと見peacefulでカワイイけど無機質&無感情。セリフもほとんどなく、あってもふきだしに文字で出てくる。よってほとんどサイレント映画。シュール極まりない映画っした。
R

R