Kumonohate

秘剣破りのKumonohateのレビュー・感想・評価

秘剣破り(1969年製作の映画)
3.9
市川雷蔵の死去により大映にレンタルされ、雷蔵の諸作を次々リメイク(リブート)していた頃の松方弘樹の主演作。名作中の名作「薄桜記」のリメイク作。

「忍びの者」「若親分」「眠狂四郎」といったシリーズものではなく、数ある雷蔵の単品作の中から「薄桜記」を選んだ気持ちはよくわかる。「薄桜記」を見ていなければ、充分に感動作だと思っただろう。それほどストーリーが良い。また、松方弘樹もじゅうぶんイケている。渡辺岳夫の音楽も涙を誘う。そして悲劇のヒロイン・岩井友見(もと松方弘樹夫人・仁科亜季子氏の御姉上であらせられるワケですが!)が良い。つまり全然悪くない。

それでも悲壮感が足りないだの何だのと雷蔵版と比較されてしまうのは、これはもうしょうが無い。作り手は、雷蔵版をなぞるのではなく松方弘樹ならではの新しい「薄桜記」を描こうとしているに違いないし、事実その通りの作品になっているのだが、それでもどうこう言われてしまうのは、リメイク(リブート)版の宿命である。
Kumonohate

Kumonohate