歌代

マジック・マイクXXLの歌代のレビュー・感想・評価

マジック・マイクXXL(2015年製作の映画)
4.3
理性を超えた感動!僕は後半ずっと涙ぐんでました。

このシリーズは通念として「エンターテイナーとは」ということを語っているのですが、それをあえて台詞・言葉として表現しないところがホント素晴らしいと思っています。
そして今作は、「やりたいことができない」「やりたいことから逃げてる」人たちが自分らしさと向き合う話、そして全ての人が自信を取り戻していくお話。
これってものすごく「エンターテイナーとは」っていうところとうまく結びついてると思うんです。
「ステージに立つ」ってそういうことなんですよ。
技術とかとは別で「やりたいことをしてる」人は輝くし、自信のない人は輝けない。そんな場所なんです。

この映画にスポコン的な特訓シーンはありません。だけど、彼らはずっとステージに立ち続けてきた人達だから描く必要は別にないと思うし、根本的にスポ根物語じゃない。
一作目の後半が『トレインスポッティング』的な別れを描いていたところから分かる通り青春モノなんです。
技術はもうある人たちがその先で得るべきモノの話をしている。
というか、あのステージングは「それまでの時間」を感じさせるのに充分だと思う。
1作目はその「ステージに立つ覚悟」だけでもめちゃくちゃカッコよかった。

だからそれぞれの「やりたいこと」を表現する今作クライマックスのダンスシーンは1作目のその先を描いてると思うし、結婚式のあたりからはもう理性をぶっ飛ばして泣けちゃった。
終わり方も完璧。
ニューシネマ的後味になんか元気がもらえてしまう。

一作目と比較して、フェミニズム的テーマへの切り込み方も非常に自然で素晴らしかったです。
女性観客を「女王様たち」と呼ぶローマの存在も最高だった。

だからこそ、観終わったあとこの映画のレビューで「中身がない」と書いてる人の多さに驚きました。そう感じたことに関して何も言えないけど、少なくとも僕は強いメッセージを受け取ったと感じたし「もっと評価されていいシリーズだ」と声を大にして言いたくなりました。

ガソリンスタンドのダンスシーンとかもそうだけど、客観を置いておいて主観で観ることが大事なタイプな映画なのかもしれません。
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