ケヴィン・スミス監督の最新作。
監督より俳優のイメージが強い。
『ダイ・ハード4.0』での演技、
短い出演ながら濃いキャラクター。
でも、監督した作品は初鑑賞です。
すでに公式でネタバレされているが、
本作にはセイウチ人間が登場します。
なんだかトム・シックス監督のカルト映画、
食欲がなくなる『ムカデ人間』を彷彿する。
主人公ウォレスにジャスティン・ロング。
期待通りのしゃべくり演技が炸裂します。
しかも、なんでもネタにしてしまう会話。
まさしくジャスティン・ロングの真骨頂。
だけど、あの口ひげは似合っているようで違う。
プロコル・ハルムの若きゲイリー・ブルッカー。
そう見えてしまったけど、知らない人は多いか。
ただ、それも中盤までの立ち回り。
その紅茶を飲んでしまったら終了。
次に目を覚ませば新たな人生です。
しゃべくりのウォレスはセイウチ。
彼はセイウチ人間に大変身します。
見た目はかなりグロテスクである。
目元だけで気持ちを表現する演技。
前半での動から一変し、後半は静。
冷静に考えればゾッとする姿です。
『ムカデ人間』より恐ろしいです。
ウォレスに新たな人生を与えるハワード・ハウ。
演じるのはベテラン俳優のマイケル・パークス。
最初は物知りな元船乗りの老人として登場する。
しかし、ハワード・ハウなどいない。
バトロミュ・ムシエでもありません。
彼はセイウチに助けられた男である。
そこから狂人が誕生しただけである。
ポッドキャストを共同運営するテディ。
ハーレイ・ジョエル・オスメントが演じる。
あの天才子役が大人になっていました。
久しぶりに見たけど、
子役時代を無視して、
今だけを考慮すれば、
悪くない役者である。
そして、本作で最も印象に残ったキャラクター。
ケベック州警察のギー・ラポワンテという男だ。
彼は公式にクレジットでもギー・ラポワンテだ。
では、彼は誰なのかと気になるところであろう。
あの変な仕草、あの独特な間合い、あの輪郭と、
最初はトミー・リー・ジョーンズと推測するも、
吹き替えの声からある俳優がすぐに連想すると、
不思議とあの人にしか見えなくなるという現象。
ギー・ラポワンテという人物のスピンオフ作品。
作ってもいいと思えるほどキャラが立っていた。
もっと深く掘っても良さそうなキャラクターだ。
本作はケヴィン・スミス監督の趣向が反映されている。
シリアスにホラーをやれば、身の毛もよだつ恐ろしさ。
コミカルにコメディをやれば、バカ笑いでそうな展開。
そこを敢えて、中途半端にするケヴィン・スミス監督。
ウォレスが最後に見せた悲しき目元。
これが一番印象に残った場面でした。
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