わたがし

グリーン・インフェルノのわたがしのレビュー・感想・評価

グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)
5.0
 数年に一度ぐらいはR18指定の映画をシネコンの大スクリーンで観るという最高の機会が巡ってき、その度に作品の完成度とか好みとかもはや関係なしに、とにかく観終えた後のぞわりぞわりと襲ってくる心地の良い圧倒的背徳感に生きている喜びを感じる。こんなものを観てしまって良いのか!こんなものわざわざお金払って観に行く自分って最低なんじゃないの!変態なんじゃないの!犯罪者予備軍じゃないの!そんなことを考えれば考えるほど自分だけがたったひとりポツンと未知なる世界を独占しているような気分になり、何とも言えぬぬらぬらとした快感が身体を駆けずり回る…
 悪戯に人食い映画を撮りましたじゃじゃじゃじゃーん!みたいなゲテモノB級映画のような雰囲気はなく、ちゃんと正面切って人食い文化を描き、その文化を描くことによるリスク、表現者としての覚悟なんかも上手くこっそりテーマに盛り込みながら、基本的には皮肉&ギャグどっさり、血肉もどっさり、故に最高の映画!という感じ。
 食人場面に至るまでがそれなりに長く、しかもその時点で既に散々精神をやられる場面続出なものだから「ここまで観てまだこれから食人場面まで観なきゃならないのかよ…」と弱気になってしまう。そうやって食人場面に至るまで食人描写以外の方法で用意周到に精神を削っていくものだから、メインの食人場面でのショックの度合いも前置きなしの素で観た時のそれの何十倍にもなる。『ホステル』の「前半の天国からの後半の地獄」演出を応用&進化させたスマートな演出にハートを掴まれっぱなし。
 食人描写は人を食べるそのものの描写よりもむしろ人を食べるまでの調理の過程、解体作業なんかが観ていてとても楽しくて笑いながらゾクゾクできる。思う存分に残酷なあれこれを観せて楽しませてくれたかと思うと、焦らして焦らしてなかなか観たいところを観せてくれない演出もあり、そのさじ加減が絶妙に快感&不快感のハーモニーを織り成していて本当に美味しい!残酷な映画ってやっぱり本当に超最高に楽しい!
 心と心の繋がりを再確認させてくれる感動作も大好きだし、落ち込んでいる自分の背中をそっと後ろから押してくれる映画も大好きだけど、本作みたいな精神をなぶり殺しにしてくる最悪の映画を観ている時がやっぱり1番「生きている感触」を味わうことができるし最高に気持ちが良いし、心の底から「幸せだなあ」と思う。塞ぎこんだりしていて身体が受け付けない時期もあるけれど、本質的に自分はやっぱりこういう最高に残酷な映画が大好きなんだなと自覚させられた。非道はいつだって王道なんだ!