けーはち

グリーン・インフェルノのけーはちのレビュー・感想・評価

グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)
4.0
意識高い系の学生グループがアマゾン原住民&森林を保護しようと運動したら逆に捕まってムシャムシャ食べられちゃう!

★日本公開まで長かったのもあって、現代の「食人族」、ヤバいよヤバいよと言われていたので、脳汁プシャーッのブッ壊れ映画を想像していたら、手堅いドラマ・パートに、数カ所の猛烈ゴアとブラックな笑いが畳み込まれ、終盤は綺麗に収束、意外や意外、全体として見れば普通にちょー楽しい映画。意識高い系学生活動家が理想のために他人を犠牲にし、その挙句に守りたい対象の先住民に蹂躙され醜い姿を晒しながら食われまくるのは、グロテスクながらも痛快とさえ言ってしまえる。

★苦痛を与えるための拷問は一箇所あるのだが、それそのものを目的とした人体損壊はほぼなくて、基本的に解体・調理──食の準備作業である。原住民の言う「神の贈り物」という言葉からは敵愾心はなく、部族以外の人肉は儀式的意味を持つありがたい御馳走。喰われる側にとって、インフェルノ(地獄)でも、喰う側は、美味い、ありがたいと言って喰うのみ。ただ、両方同じ人間だからホラーになる。

★本作で特筆すべきは、食の悦びに満ちた食人シーンと、部族の皆で美味しく頂くための丹念な調理シーン。これらが本当に印象深い。最初に生で獲物を食する特権は長老のもの。目玉をほじくり、鼻をかじる。その新鮮な味に長老が顔をほころばせると、部族の皆は「早く早く!」と大わらわ。よしよしと戦士長が肉切り包丁で首と手足を切断、腹を割いてワタを出すと、女たちはふんふんと鼻歌まじりに食材の下こしらえを始める。胴はジャリジャリと粗塩をまぶし土釜で蒸し、その他の部位は焼く。バナナ、とうもろこし、マンゴーを副菜に栄養満点!

★ほら、喰われる側じゃなきゃ最高に楽しそうだ。地域の食文化は大事にしなきゃ。でも自分が仲間が一人、また一人と殺されてダンダンと迫ってくる順番を待つ立場だったら恐怖この上ない。極めて普通の調理・食事シーンであるがゆえに、食材が人間だってことだけ恐怖の対象なのが浮き彫りになる。なかなかにユニークな映画だった。次回作はもっとエグいのをやってくれても構わない。