深獣九

グリーン・インフェルノの深獣九のネタバレレビュー・内容・結末

グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 文明に対する、そして環境問題や人権問題にテロリズムによる介入へのアンチテーゼをテーマにした社会派作品。
 本当はたぶん、カニバリズムのスプラッター映画。

 登場人物はおしなべて、自己中心的で主義主張を高圧的に押し付けるクソ野郎。意識高い系テロリスト予備軍の若造どもが、現地の都合も考えず介入し暴力的で身勝手な抗議活動の末ひどい目に遭う。冒頭に出てくる、ルームメイトの金髪ビッチ女子が、最もマトモでいい子じゃないか?

 展開はやや冗長で、肝心のシーンまでは少々退屈かもしれない。だが、主人公たちが原住民のヤハ族に捕らえられるあたりから、なかなかの描写が続く。
 まずは、セスナ機の墜落シーン。墜落中の飛行機から投げ出されたり、パイロットの顔が木グシャグシャにされたり、プロペラで頭を切断されたり。なかなか悪くない。
 その後、ヤハ族の村で生きたまま目玉をくり抜かれたりバラバラにされたり、自ら首を切ったり、死んだ仲間の喉の奥にマリファナの塊を突っ込んだり、生きたまま噛みちぎられたり、尻から串刺しで放置されたり。さすが、『食人族』のオマージュ作品だけあって容赦はない。
 ただ、そういうシーンは全体の1/4ほどで、やや食い足りない気もする。食人族だけに。

 それ以外の良かったシーンは以下の通り。

◯オープニング
空撮で映されたジャングルに、キャスト・スタッフ紹介の文字が浮かぶ。白文字に黒い影がついており、それがジャングルに落ちてまるで飛んでいるセスナの影のように見える。ちょっとした仕掛けがいい。
◯伏線
大学の講義で紹介された割礼、講義終わりにちらりと出てきた蟻攻めの話が、クライマックスで出てくる。わかりやすい伏線嬉しい。
◯ウ◯コ
檻の中で我慢できず、仲間たちの前でしてしまうシーンは良かった。
◯シナリオ
ヤハ族に捕らえられるまでの展開に、説得力があり安心して観ることができた。また、ヤハ族を助けに来たのに、ヤハ族に殺されるなんて皮肉だ。とはいえ、本当の目的は地下資源採掘の利権がらみだったわけだから、当然といえば当然か。


そしてツッコミどころ。

●原住民の描写って差別じゃない?(実際、少し騒ぎになったみたい Wiki調べ)
●目くり抜いただけで出血しすぎじゃね?
●人間の解体シーンは屠殺のようで、なんだかそれほどでもなかった。解体されたあと調理されてるし。
●なにこれ『イッテQ』みたいなトラブルwww


 結局これは、文明の光が届かない未開の地に住む、ヤハ族のドキュメント映画だったというわけだ。そう思うとなかなか興味深い。人にすすめるべき作品だろう。違うか。
深獣九

深獣九