のふのふ

ホームズマン/ミッション・ワイルドののふのふのレビュー・感想・評価

4.5
〝俺たちは西部に行くんだ。どんな困難があろうとも〟

トミーリージョーンズが監督・脚本・出演。しかも歌って踊る!
渋い..とにかく渋い。
なかなか見応えのある作品でした!



19世紀アメリカ。開拓地ネブラスカの小さな集落で暮らす独身女性メリーは、精神を病んだ3人の女性をアイオワの教会まで連れて行く役目「ホームズマン」に志願する。その直後、メリーは木に吊るされ処刑寸前だった悪党ブリッグスに遭遇し、旅に同行することを条件に彼を助け出す。約400マイルの長い旅に出た彼らを、過酷な気候や凶暴な先住民、危険な盗賊たちなど、さまざまな試練が待ち受けており…。



女性がテーマの映画でしたね。
舞台はアメリカ西部開拓時代のネブラスカ準州です。
西部劇といえば〝男のロマン〟的なイメージ。
けどその男のロマンによって狂ってしまった女性が描かれています

開拓時代の西部の女性は男に連れてこられ過酷な環境の中の生活だった云々、と大学の時に授業で先生がそんなことを言ってた気がする...確か...笑
あの時の話をよく聞いておくべきだったと後悔|ω・`)




精神を病んでしまった3人の女性が登場するのですが、
前半の彼女らの描写はきつかったですね...
針で...の場面はかなり痛々しかった。


彼女たち3人を東部へ連れていくのは「ミリオンダラーベイビー」のヒラリースワンク演じる、独身女性のメリーです。
〝音楽なしではつらいの〟
西部の過酷さに何とか負けまいとする彼女の姿は辛いものがありました

そして、この西部では居場所のない存在。
〝善良な女だと言って〟という台詞も印象的でしたね。
中盤のある展開はかなりキツかった...




そんなメリーと一緒に旅をするのはトミーリージョーンズ演じるブリッグス。
逃げてきた男、彼もまた居場所のない人間です。
とにかくトミーリージョーンズの演技が圧巻でしたね〜





まぁ、旅の道中何か大きなことが起きたりはしないんですが、
静かにこの時代の救いのなさや物哀しさが描かれています


たどり着いたアイオワのあの居心地の悪さはなんか嫌でしたね...
〝きっとこれがまた必要になるだろう〟の一言は後味悪すぎ...笑
メリルストリープの目線もなんかな〜...





キャストは異常に豪華でしたね!
「トゥルーグリット」観たい気分になってたらヘイリースタインフェルドちゃんも出てきててびっくり!
短い出演時間メリルストリープの圧倒的存在感にもびっくり!
ウィリアムフィクナーも出てましたね



そして
名撮影監督ロドリゴプリエトさんによる映像も素晴らしい!

あと劇中で耳に残る不穏な音楽。
ワイヤーで繋いだピアノと鉄の貯水タンク。その間を通る風が音を曲げることで不穏な音に仕上がっているそう。
YouTubeにも映像あるのでぜひ!





以上、「ホームズマン/ミッションワイルド」!
冒険活劇的な「ミッションワイルド」という謎の邦題がついてますが、爽快感は全然なく重い渋い作品です。
ドンパチも全然ありません。

居場所のない者は自由を求め、再び西部を目指す。
〝どんな困難があろうとも〟
焚き火をバックに皮肉で滑稽なラストもなかなか自分好みでした。
オススメです!
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