わかうみたろう

ジミー、野を駆ける伝説のわかうみたろうのレビュー・感想・評価

ジミー、野を駆ける伝説(2014年製作の映画)
-
音楽やダンス、文学を楽しめる場であるジミーホールに反対する神父は黒人女性の声に感動し、ジミーを追う軍人たちは少年時代の読書体験を思いだし顔を緩める

芸術の自由が人々の生活の豊かさとは切りはなせないことを、ジミー達だけでなく対立する教会側も知っているのだ

それなのに和解できないのは、労働者の味方=共産主義者としてレッテル張りする権力者たちがイデオロギーに沿ってしか理解しようとしないからでそれは国と繋がった教会の権力を守ろうとする不安から来てる

不安を埋め合わせるためのものとしてのイデオロギーでは人間について考え直すことはなかった、ジミーの行動に心の奥底では敬意を示しているのに

こういう頭でっかちな人に対抗したホール再建の活動は労働者のためでなく心底生活に希望を見いだそうとしている人々が生きるためのもので、生活でなくイデオロギーに縛られる人は本当はわかってるのに理解しきれなかったのだろうな

対立なんて本当はないのに対立を生み出してるのは誰か

教会での神父のバカみたいな密告を聞いてるときに笑ってしまった少女は簡単にそれを見抜いたし、ジミーが戻ってきたらすぐにホール再建を手伝だった人々も本当の生活の楽しさはもう忘れられない

主義主張を越えたところにしか真の利他性はないというのは今の日本と同じかな