ササキ・タカシ

ササキ・タカシの感想・レビュー

4.0

このレビューはネタバレを含みます。

廃人同然で20年間も引きこもりの生活を続けていた伝説的なミュージシャンが、生まれて始めて自分の苦悩を理解し愛してくれる人に出会うことで人生を再起するという内容の、とてもスウィートでビターなラブロマンスだった。

自分はビーチ・ボーイズ/ブライアン・ウィルソンの大ファンなので思い入れのせいもあってまとまった感想が出てこないのだが、まず彼らに関する映像作品でこれだけちゃんとしたものができたことに拍手を送りたい。最初にブライアンの伝記映画が企画されているという報を知った時は悪い予感しかしなかったからな! ダメな『すべてをあなたに』にみたいな映画にならなくて良かったよ! これ、もしかしたら作風的にアカデミー賞ノミネートとかしてしまうんじゃないだろうか、それはさすがに買いかぶりか。若き日のブライアンを演じているポール・ダノとその20年後を演じているジョン・キューザックが同一人物なことにはさすがに無理があるのだが、うーん、ジョン・キューザック!? 全然似てないじゃん! もっとちゃんとキャスティングしろよ!って思ってたのに最終的には復帰後のブライアンそっくりに見えてきちゃって、あーやっぱり役者さんってすげえんだな、見た目が似てなくても演技でねじ伏せちゃえるんだなって当たり前に感心した次第です。ポール・ダノは最初っから似てた、しかも歌がうまい。当時のブライアンというよりも、年とってからの彼の歌唱に近いんじゃないだろうか。ポール・ジアマッティにあんな怪演をしてもらえたのだからユージン・ランディだって本望だよなー羨ましい。

1990年前後と思われるラストシーンで、カーステレオから2007年のブライアンの曲が流れてくるというタイムレスな演出にはハッとした。愛のある丁寧な映画だと思う。